Knock our Heart -nockのひねくれブログ-

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ヤマザキパン製品に使用される臭素酸カリウムの記事を読んで思ったこと。

ヤマザキパンは発がん生のある臭素酸カリウムを原料にしている。これは企業として許せないことだ。」とヤマザキパンを猛烈に批判する記事がfacebookにあり、これに賛成してヤマザキパンを叩くコメントが多く見られました。

なぜこんなにもヤマザキパンが悪者のように扱われなければならないのでしょうか。

 

ヤマザキパンの製品に発がん性のある「臭素酸カリウム」が製造工程で使用されている(いた?)。これは確かでしょう。ただ、それだけでヤマザキパンを責め立てるのはナンセンスです。なぜなら、これには「量」についての議論がないからです。

 

そもそも、どんな物質も「発がん性はある」と言っていいのです。調味料である食塩も、栄養素であるビタミンCも、健康に良いと謳われるポリフェノール発がん性はないとは言えません。

普段摂取している範囲では発がん性が認められないだけであって、食塩だって1日100gも食べるようであれば発がん性は出てくるかもしれません。(がんの前に別の問題が発生すると思いますが)

 

発がん性に限らないですが、健康へのリスクは当該物質の「摂取量」に左右されます。どんな物質でも「含まれている」だけではリスクがあるとは言えません。「この量を超えると危ない」という点を超えて初めてリスクがあるといえます。

普段食べている食品や通常受け入れられているような食品添加物は、「この量を超えると危険だと思われる」という臨界点が高く、臭素酸カリウムの場合は低い。ただそれだけの話です。

醤油だって一気に1リットルも飲めば死にます。臭素酸カリウムはその逆です。臨界点より摂取が少なければ安全であると言っても構わないだろうということです。

 

この考えから食品添加物は使用許容量を決める訳ですが、それは科学的根拠に基づいてかなり厳格に決められています。パンの製造の場合、原料の小麦粉に臭素酸カリウムは30ppm以下である必要があるとされています。それを満たせばリスクは低いと言えるわけです。ヤマザキパンの残存臭素酸カリウム量は0.5ppm以下であるようです。

 

また、臭素酸カリウム発がん性はグループ2B(ヒトに対して発がん性があるかもしれない)に分類されます。コーヒーやわらびもグループ2Bに属しています。ちなみにアルコールはもっと分類が上のグループ1に属します。

この分類は発がん性の根拠の強さを示すものです。(発がん性の強さを示すものではない)すなわち、発がん性の根拠が十分でないから危ないと言うならば、コーヒーやわらびにも同じことを言うのが然りということです。

 

臭素酸カリウムの使用が(基準を超えなければという条件付きですが)認められている以上、ヤマザキパンはなんら悪くはないはずです。

むしろ安全でありもちもちしたパンを提供させてくれるのですから褒められてもおかしくはないという見方もできます。

 

ヤマザキパンは極悪非道だ」と罵る人は、発がん性もとい健康リスクへのこういった「量」についての考えが欠落しているのではないですか?

食塩なら「少量であれば味も美味しくしてくれるしミネラル補給の面でも良いけど、摂りすぎは禁物」というのに、臭素酸カリウムに関しては「摂りすぎはもちろん少量でも危ない」というのは筋が通っていない気がします。

 

「野菜は有機栽培が安全だ」と豪語する人は果たして、殺虫成分のある農薬を使った野菜における農薬の成分による発がん性のリスクと、農薬を使わない場合に害虫に汚染された野菜におけるその害虫の出す成分による発がん性のリスクとではどちらが高いだろうか考えているでしょうか。

それを考えもしないで「農薬は使わない方がいい」と断言したところで、その意見はは正しいとは言えないでしょう。間違っているとも言えませんが。

 

そういうことです。「発がん性のある臭素酸カリウムを使用している」という情報だけに流されてそれを用いたパンが「危ない」とか「怖い」とかいうことは認識が甘いかもと考えるべきではないのかと思います。

 

食品はその品質やリスク、コストなど、様々な要素を総合して一つの「価値」が形成されます。いくら品質が良かろうと高いと思えば買わないし、ほんの1mmリスクが上がっても美味しいものを食べたいと思う気持ちもわかります。要素のどれを重視するかは完全に消費者次第です。

別に(多くのコメントで聞かれるように)自家製のパンが一番だと思ってもそれは個人の(各々が考えるリスクも加味した)好みの問題なので構わないです。いくら臭素酸カリウムが安全性が認められる量だと言っても、臭素酸カリウムが入ってないならさらにリスクが低いのは明白だからそちらを選ぶのは当然だろうと思う気持ちも大いに理解できます。

 

ただ、イメージや風潮に流されて「ヤマザキパンのパンは危ない」という結論にたどり着くなら、考えを一度改めてほしいと思います。

「疑わしきは罰せよ」だから叩かれて当然だと言いますが、Facebookで見る多くのコメントや周りの人の声を聞くと「疑いもせず罰しようとしている」ように思います。「発がん性物質は危ない」と何を根拠に言っているのか理解した気になっているだけで、ヤマザキパンを責め立てているのではないでしょうか。それでは冤罪と変わらないような気がします。

そういった物質について否定をするのなら、危険性があると囁かれながらもなぜ使用が認められているかをきちんと理解してから否定してほしいと思います。

臭素酸カリウムを使用したパンは危なかったら、じゃあ自家製パンは危なくないと言えるのか。そういう考えを持つべきです。

 

臭素酸カリウムだけじゃない、マーガリンのトランス脂肪酸の議論においてなど食品全般に関して「自然は善、人工は悪」という考えが蔓延している気がします。そういう先走った考えは拭い去って、食品安全の本質を消費者側も考えることを望みます。

 

 

 

あと最後に、ヤマザキパンに対しては、製品の臭素酸カリウム残存量についての実験データを公表してほしいと思います。それがヤマザキパンの過失と言えば過失ではないかと思います。

こういう実験結果が得られたからうちの製品は大丈夫ですよ、と言う事を示してほしいと思います。

 

参考

食品安全委員会 臭素酸カリウム

https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-kbro.pdf

食品安全委員会化学物質・汚染物質専門調査会 清涼飲料水評価書(案)臭素

https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc3_kagaku_osen_bromacid_200925.pdf

・「ヤマザキパンはなぜカビないか」論に見る一般人に対する騙し行為

http://www.ffcci.jp/information/img/kaiho_4-1-3.pdf