Knock our Heart -nockのひねくれブログ-

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未来を知ることができたらどうなるのか~高野苺さんの「orenge」を読んで~

 

orange(1) (アクションコミックス)

orange(1) (アクションコミックス)

 

みなさんは未来の自分から手紙が来てこれから起こることを知ることができたとしたらどう思いますか?

こんなテーマで物語が進むのが高野苺さんの「orange」という漫画です。

未来の自分からの手紙にはある男の子を救えなかった後悔が綴られており、彼を救ってほしいという願いを込めてこれから起こる出来事が詳細に書かれていた。

これを読んだ主人公やその仲間たちの取る行動とは・・・

時に笑えて時に泣ける。ほんわりと心にしみる漫画です。

 

これを読んで、未来を知ることは、知らないよりも抱え込むものが大きいこともあるのだということを知りました。

 

未来の手紙には「この日に彼の話を聞いてあげられなくて後悔をしている。」と書いてあったら、「それならちゃんと話を聞いてあげて未来を変えよう。」と誰もが思います。

けれども、話を聞いてあげてからといってその選択が最善の方法だったのかということは結局わからないままなのです。

未来の手紙に書いてあることを意識的に避けて別の行動をとると、当然ながら未来が少しずつ変わっていきます。そうなると段々と手紙に書いてあることとは別の未来が訪れるようになっていきます。そうして結局のところ今の私の最終的な未来が分からなくなってしまいます。

するともう、あとは未来の私同様、選択が間違っているかいないかは結果論でしか判断できません。

一つの未来を知ってしまった以上、「これでよかったのか」という不安や後悔は一段と大きくなります。

 

後悔したことを取り戻そうと自分の取った行動とは別の行動をしたからといって後悔しない結果になるとは限らないという事です。あの時彼に「ゴメンね」と一言言ってあげればよかったと後悔しているとしても、「ゴメンね」と言っていれば後悔はなかったかというとそうなる確証はありません。

未来を知って、もっといい選択肢を選ぼうとしても、それが真にいい選択肢だったのかは分からない。未来を知ることにはそういった盲点がありました。

 

話は少し変わりますが、パラレルワールドという考え方があります。世界は過去から未来に一本につながっているのではなく、様々な未来に分岐して進んでいるというものです。

今の私未来の私の願いにより未来を変えたとしたら、未来の私のいる世界ではなく別の世界に分岐した未来につながることになるというのは想像できます。それはつまり、今の私が未来を変えて彼を救ったところで、手紙の送り主である未来の私は彼を救えてはいないということを意味します。

ですから、未来の私の後悔をなくそうと思っても今の私にできることは何一つなく、結局は今の私自身の望む未来にしようとすることしかできないのです。

 

「未来の私から伝えられた未来」を知ったところで「今の私の未来」を知ることにはならない。結局は手探り手探りで生きていくしかない。

そうなると、果たして未来を知ることは歓迎すべきことなのかどうか疑わしいところです。

 

どうでしょう。みなさんは未来を知りたいと思うでしょうか。

他愛もない、どうでもいいようなことなら知ってもいいですが、自分の就職先とか、結婚相手とか、死ぬ瞬間とか、人生における一大イベントの未来は知らずにいたいかなあと思います。

 

未来がどうであれ、過去がどうであれ、今の自分が生きるのは今なのだ、ということを、この作品を読んで強く感じました。